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執筆者の写真あけみ

師の一句 「水影をゆらりと置きし初紅葉」 深見けん二

平成14年作 80歳 第六句集「日月」以後・精選句集「水影」所収。

「深見けん二句集」(平成18年刊)に題名「水影」として刊行。


紅葉は、楓に限らず楢やまゆみ・櫨・漆・白膠木など、落葉樹の葉が落葉する前に、霜や雨により赤や黄に美しく染まりますが、その代表的なものは楓です。掲句の紅葉は「初紅葉」から、おそらく櫨か白膠木であろうと思います。

まだ紅葉には少し間があると思っていて、目線が下の方を見ていたのでしょう。思いがけなくも池に張り出した枝が池に映り、緩やかな風に紅葉が「ゆらり」と揺れ、置いたように鮮やかに水に映っていた。枝先にわずかな風があっても、入江のような池面は穏やかだったのでしょう。先生は水面に映っている紅葉を発見し、頭上の紅葉に気付かれ、改めて水影の紅葉に身を移された。「水影をゆらり」と置くという措辞により「初紅葉」らしさを言い止めた一句だと思います。                       鈴木すぐる 主宰

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