あけみ2020年9月7日読了時間: 1分深見けん二先生の軌跡東京大学第二工学部冶金学科 燈れる研究室や花の雨 実験衣きて校庭に花惜む 夕焼や学園古りて厳かに 父の道つぎて我立つ夜学かな 鉱山 日曜の鉱山は静かに春の雨 紫に夕焼さめし廃石場かな 日盛りや鉱山の発破に小屋ゆるる 坑内を出て夏川のひびきある 夏山を削りうち建て坑夫小屋
あけみ2020年7月6日読了時間: 1分鈴木すぐる 子供の日花は葉に「誓の桜」影を濃く コロナ禍の路地に白亜絵子供の日 菖蒲湯のかをり鼻からまなこから 店主敬白コロナにも触る新茶かな 反りぎみに将軍塚碑緑さす 畠なかの白旗塚や若葉雨 大木へ蛇結茨のアーチかな 餌をねだる羽を震はせ烏の子 角川「俳句」2020年7月号 作品8句
あけみ2020年6月28日読了時間: 1分蟷螂のあし繊々と草を踏み 正木ゆう子角川 月刊俳句 2020年5月号 特別作品50句「草を踏む」より 50句のタイトルにされた句ですから、ご自分でも気に行っていらっしゃるのか。「繊々と」ですから、脚の細さというよりは、脚のしなやかさ、たおやかさに注目された。しかも、踏んでいる草もしなやかで、このしなやかな世界...
あけみ2020年6月19日読了時間: 1分癒えて来し夫と見上ぐる朝桜 鈴木征子鈴木征子 第一句集「朝桜」2017年 ふらんす堂 ・・・平穏で充実したお二人の生活が急変したのは、ご主人すぐるさんの平成に25年末の発病である。・・・その後、手術が成功され、しみじみと今年の桜西行忌と詠み、次の年掲句を詠まれるようになったのである。この句集を「朝桜」とされた...
あけみ2020年6月16日読了時間: 1分師の一句 「水影をゆらりと置きし初紅葉」 深見けん二平成14年作 80歳 第六句集「日月」以後・精選句集「水影」所収。 「深見けん二句集」(平成18年刊)に題名「水影」として刊行。 紅葉は、楓に限らず楢やまゆみ・櫨・漆・白膠木など、落葉樹の葉が落葉する前に、霜や雨により赤や黄に美しく染まりますが、その代表的なものは楓です。掲...
あけみ2020年6月6日読了時間: 1分師の一句 「春蝉の声一山をはみ出せる」 深見けん二 平成十三年作 79歳 第六句集「日月」所収 春蝉は、主に本州から九州にかけて分布し、国外では中国にも生息するという。多くは松林に棲み「松蝉」ともいうが、他の蝉に先駆けて鳴き始めるのが「春蝉」の名の由来である。晩春の晴れた日、雄が一斉に鳴き出す。その鳴き声は、激しい雨がシャー...
あけみ2020年5月19日読了時間: 1分師の一句 「一樹一円をなし落椿」 深見けん二 深見けん二俳句集成(2016年3月・ふらんす堂)の季題索引を見ると、春の部には花の句が沢山収載されている。中でも桜の百句を筆頭に、梅の60句、椿は23句である。掲句の椿は先生の旧居、所沢市上安松に近い東光院の境内の藪椿を詠んだもので、結社花鳥来の定点の吟行地のひとつでもある...
あけみ2020年5月19日読了時間: 1分羅や人悲します恋をして 鈴木真砂女人妻が恋をして幸せであるべき筈はない。このため何人かを苦しませ悲しませた。そして自分自身も相手も。 鈴木真砂女は1906年千葉県鴨川生まれ。老舗旅館吉田屋の三女。1947年久保田万太郎主宰「春灯」を知り、所属。1957年に吉田屋を出て銀座に小料理屋「卯波」を開店。句集「夕蛍...